オフィスや家庭での「情報セキュリティ」というと、パソコンからの情報漏洩をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、プリンターや複合機にも、使用時にデータが一時的に保存されています。情報セキュリティを高めるには、こういったプリンターや複合機もセキュリティに優れた製品を選びたいところです。
この記事では、それらの対策のために「使用者を限定して情報漏洩や不正使用を防げる」ぐプリンター・複合機について紹介します。
プリンター・複合機の情報漏洩や不正使用とその対策
プリンター・複合機からの情報漏洩で、誰にでも手軽にできる方法の1つが「社外秘の書類等をプリントして持ち出す」です。
この場合、情報を盗もうとする人が社内に出入りしていることが前提になるので、自社ではそのような心配がないと考える方も多いかもしれません。しかし、社外の人の出入りが多い職場やアルバイトを大勢雇っていて入れ替わりが頻繁な職場などでは、危険性がないとは言い切れません。
プリンター・複合機からの情報漏洩を防ぐには、許された人以外にはプリンター・複合機を使用させないというのが有効な手段になり得ます。
また、複合機に関しては、コピーの私的利用がコスト増につながることもあります。会社内はもちろん、不特定多数の人が出入りするコワーキングスペースや学校などは、無料で好きに使わせると、遠慮なく大量のコピーをされて、気が付くと膨大なコストが発生していた…なんて事態にもなりかねません。
こういったケースも、使用者を限定することで、私的利用や無駄使いを抑止すできます。さらに、使用者を管理して利用枚数を把握することで、コスト管理も可能になります。

プリンター・複合機の使用者を限定する手段には、以下のような対策があります。
●ユーザー名とパスワード使ったユーザー認証システム
●ICカードがなければ使用できないICカード認証システム
単純にプリンター・複合機の使用を制限するだけでなく、社員ごとに操作できる機能を制限もできます。さらに、不正な操作を防ぐために、プリンター・複合機本体の操作パネルのキーをロックして、管理者以外のユーザーによる設定の変更を禁止する機能を備えた製品もあります。
使用者を制限する機能を搭載したおすすめ製品
ここからは、何らかの形で使用者の制限ができる、おすすめのプリンター・複合機を紹介します。
セキュリティ機能も充実したラインインクジェット エプソンLM-C4000

LM-C4000は、ページと同じ幅のプリントヘッドを備えた、用紙を通過させると同時に一気に印刷するラインインクジェットプリンターです。セキュリティ面では、利用者制限機能や外部インターフェイスの接続制限機能などを備え、オプションで非接触ICカードを使ったユーザー認証も利用可能です。
LM-C4000の特徴
●利用者権限や外部インターフェイスの接続が制限できる
LM-C4000には、あらかじめ本体に登録しておいたユーザーだけが利用可能になる利用者制限機能が搭載されています。
また、USBなどの外部インターフェイスの接続を制限できるので、不正なデータの持ち出し予防できます。
●オプションで非接触ICカードによる認証も導入可能
オプションではありますが、Felicaなどの非接触ICカードによるユーザー認証も導入できます。ユーザーIDやパスワードを入力する手間も省け、セキュリティも高められます。
●高速印刷が可能でフィニッシャーも豊富
本製品は、毎分40枚の高速印刷が可能で、ファーストプリントも7.6秒の速さです。プリント待ちの時間が短くなり、業務効率を改善できます。
また、ステープルや紙折り、穴あけなどの機能を備えた多彩なフィニッシャーが用意されています。ホチキスや紙折りに人手を割くことなく、資料などの準備ができます。
高い生産性とDXへの対応力を備えたRICOH IM C6510

大量の出力業務をこなせる、高い生産性とDX対応力を備えたプリンター。セキュリティ面では、ICカードによる使用制限が可能で、利便性と安全性を兼ね備えた「RICOH カンタンセキュアプリント for Cloud」にも対応しています。さらに、RICOH Always Current Technologyによって、最新のセキュリティ機能が維持されます。
RICOH IM C6510の特徴
●オプションICカードシステムを利用可能
RICOH IM C6510は、オプションで個人認証に非接触ICカードのシステムを導入できます。
「RICOH カンタンセキュアプリント for Cloud」は、社内LANにアクセスしなくても、クラウド経由でプリントを可能にするサービスですが、このとき、複合機で個人認証を行うまでプリントを待機させられます。機密性の高い書類の取り違え、持ち去りなどによる情報漏洩を防ぎやすくなっています。
●RICOH Always Current Technologyによる最新セキュリティ
「RICOH Always Current Technology」をインストールしておくと、ネットワーク経由で常に最新のセキュリティ機能が提供されます。セキュリティ以外の機能も随時更新され、業務に必要なアプリケーションをサブスクリプション契約で追加も可能です。
●高い生産性とDX対応力
RICOH IM C6510の印刷スピードは毎分65枚、オプションを加えると、最大で8330枚まで給紙を増やせます。効率的に大量の原稿を読み取れる新1パス両面ADFも搭載していて、DX促進にも大いに役立ちます。
コスパが良く、セキュリティ設定も簡単 キヤノンimageFORCE C331F

imageFORCE C331Fは、本体標準価格が税込100万円を切る、ここまでに紹介した2機種に比べるとコスパの良い機種です。多要素認証が利用可能で、使用者を制限するとともに、セキュリティを高められます。「おすすめセキュリティー設定」の機能を搭載していて、セキュリティ設定が簡単にできるのも特徴です。
imageFORCE C331Fの特徴
●不正使用を抑止する多要素認証
imageFORCE C331Fは、暗証番号とICカードのように2つ以上の認証要素を組み合わせた多要素認証が利用できます。1つの認証手段を用いるよりも、セキュリティが向上し、不正使用を抑止できます。
●セキュリティ設定が簡単にできる「おすすめセキュリティー設定」
imageFORCE C331Fには、データの流れのパターンを分析する環境推定エンジンが搭載されています。環境推定エンジンが推定した最適なタイプを選択するだけで、80以上のセキュリティ関連項目の設定を一括して行えます。セキュリティ設定に詳しくない人でも、最適な設定が行いやすくなる機能です。
●見やすいUI、デザインを採用
imageFORCE C331Fには、見やすく分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)が採用され、操作効率が上がっています。また、カセットやトレイ内部が紙とのコントラストが大きい黒で配色され、紙のサイズや残量が見やすくなっています。
使用者制限の機能を備えたプリンター3機種のスペック比較表
製品名 | LM-C4000 | RICOH IM C6510 | imageFORCE C331F |
メーカー | エプソン | リコー | キヤノン |
発売年 | 2023年 | 2025年 | 2025年 |
標準価格(税込) | 170万5000円 | 434万5000円 | 97万9000円 |
本体サイズ (幅×奥行×高さmm) |
555×620×1214 | 750×880×1225 | 500×620×645 |
質量 | 128kg | 260kg以下 | 47kg |
カラー印刷速度 (A4 毎分) |
40枚 | 65枚 | 33枚 |
モノクロ印刷速度 (A4 毎分) |
40枚 | 65枚 | 33枚 |
印刷解像度 (dpi) |
600×2400 | 2400×4800 | 1200×600 |
Wi-Fi | 〇 | 〇 | オプション |
自動両面印刷 | 〇 | 〇 | 〇 |
最大用紙サイズ | A3 | SRA3 | A4 |
最大給紙枚数 (基本モデル) |
700枚 | 2885枚 | 640枚 |
***
プリンター・複合機の使用者制限について解説し、おすすめ製品を紹介しました。
プリンター・複合機は、使用者を制限することで、情報漏洩や不正利用を抑止しやすくなります。不特定多数が出入りするオフィス、レンタルスペース、学校機関などで利用する大型のプリンター・複合機の導入を検討する際は、こういったセキュリティ面の機能もチェックしてみてはいかがでしょうか。
なお、今回ご紹介した3機種は、エプソンのLM-C4000がインクジェットプリンタ、他の2機種はレーザープリンタです。インクジェットとレーザーでは使用する用紙が違うので、用紙を購入する際には、必ずそれぞれに対応した用紙を購入してください。
***
松本洋紙店では、インクジェット用紙、レーザープリンタ用紙ともに、さまざまな製品を取りそろえています。プリンター・複合機で使用する紙の購入は、ぜひ松本洋紙店をご利用ください。
インクジェット用紙(松本洋紙店)
レーザープリンタ用紙(松本洋紙店)