紙のブログ

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ご愛用様さま

ご愛用者さまに聞きました: アマチュア写真家 和田マサ子さま

こんにちは、松本洋紙店スタッフです。
多業種にわたる松本洋紙店ご愛用者さまから、今回は
アマチュア写真家 和田マサ子さまにご協力をいただきお話をお聞きしました。
長く写真用紙をご愛用くださってます。

2021年に入り、「朱夏の果(はて)」という個展を岐阜と大阪で開かれ、
CCNet(中部ケーブルネットワーク)の番組「健幸のすゝめ」にて、ご夫婦での写真生活が取り上げられたりしてらっしゃいます。

(ちなみに2023年10月19日~11月1日、ニコンプラザ大阪THE GALLERYにて
「ニッコールクラブみやこ支部展」が開催されます!)

旦那さまの喜博さまのブログと合わせ、ぜひご覧ください!

Q:プロフィールをお教えください

岐阜県出身です。スケッチ旅行に夫婦でよく行ったりしていましたが、絵は実は観る方が好きでした。主人がカメラに持ち替えた半年後にわたしもカメラを買って、それからずっと夫婦で撮り続けています。

略歴

1989年 故林忠彦氏と夫婦で対談する。「写真する旅人」に記事掲載。
1990年 和田喜博との二人展「風写録」    岐阜県関市 ギャラリームース
1990年 「フォトコンテスト」誌 モノクロームの部 年度賞1位
1992年 同二人展「獺祭・風写録」      東京銀座 コンタックスサロン
2003年 同二人展「時の居場所」       岐阜県関市 ギャラリー・ムース
2007年 第54回ニッコールフォトコンテスト モノクロームの部 推薦
2013年 写真雑誌「フォトコン」11月号の「一生懸命フォトグラファー列伝」に記事掲載2013年 同二人展「コノ世ノハナ」      東京新宿ニコンサロンbis
2014年 同展アンコール展          大阪ニコンサロンbis
2016年 第22回酒田市土門拳文化賞奨励賞受賞「声がきこえる」
2016年 受賞作品展           土門拳記念館 東京新宿ニコンサロン 大阪ニコンサロン
2016年 受賞記念展「声がきこえる」     岐阜市じゅうろくてつめいギャラリー
2017年 受賞記念展「声がきこえる」     岐阜県郡上市図書館
2021年 個展「朱夏の果」          岐阜市じゅうろくてつめいギャラリー2021年 個展「朱夏の果」          ニコンプラザ大阪         2021年 CCNet(中部ケーブルネットワーク)が番組「健幸のすゝめ」で
我が家の写真生
活を取材。
「うつろう自然にカメラを向けて~アマチュア写真家和田夫妻~」
として放映

所属団体
ニッコールクラブきらり東海道支部 会員
ニッコールクラブみやこ支部   準会員
土門拳文化賞友の会                    会員

Q:自然の中で撮影される楽しみを教えてください

写真を始めてしばらくはスナップを中心に撮っていました。でもだんだんとマンネリ化して来たように感じたんです。主人の実家、郡上市白鳥町と行き来するようになり、大きな自然を相手にするようになると、今まで接していたものが箱庭的なものだったと気づきました。

雪もたくさん降りますし、草もどんどん生えてくる。岐阜の街中で育ったわたしには対処するのは大変な部分もありましたが、何より澄んだ空気の魅力は代えがたいです。
緑もたくさん、心身ともに洗われます。花の季節は文字通り天国です。白木蓮、紫木蓮、シデコブシに花桃(7本もあるそうです!)や杏の花が、春は時期をずらして咲いていきます。それだけでなく野草や変わった花を見つけるのも楽しみのひとつです。シダの一種のイノデ(猪手と漢字で書くらしく、芽吹くときは毛むくじゃらで毛蟹のようだそうです)を撮影したり、漢方薬に使われる黄連の花なんかも春一番にとても可憐です。

以前、所属している写真クラブ「きらり東海道」のクラブ展を新宿のニコンギャラリーで開催したとき、テーマが「花のある風景」だったんです。そのときに花と風景を撮影し、ああこれは良いな、と自分の中の撮影テーマが変わったように思います。

Q:今回の作品について一言ずつお聞かせください

若葉が繁り風薫るさわやかな5月をテーマにして作画してみました。

光の風



〈光の風 1〉
滝のしぶきが降り注ぐ岩場に苔の胞子が蠢いている様子です。燦燦と光を浴びて成長する様子がのびやかな生命力を感じさせてくれました。

〈光の風 2〉
長良川にかかる鯉のぼりの群。この日はたまたま風が強く川から吹き上げる風に鯉たちが、ダイナミックな泳ぎをみせてくれました。鮮やかに色が混じりあい巨大な花のようにも見え、逞しく自由な動きに圧倒されて写した一枚です。

白の残像



〈白の残像 1〉
田舎の白鳥の実家から北へ石徹白(いとしろ)という地区があります。
ここは、白山信仰の拠点となる集落で、神社に携わる人たちが居住する場所があり、ある種とても神聖な雰囲気を持っています。
道を隔てるように御幣が下がり、結界が施されています。
正面奥に5月の残雪を被った白山の姿をみることが出来ます。
立ち入ることが無作法であるかのような美しさです。

〈白の残像 2〉
石徹白川のダムの放流の様子です。本流の横からも別口の放流があり、白く輝く女の妖しくも美しい三つ指の形に魅かれました。
石徹白(いとしろ)・白山(はくさん)・白鳥(しろとり)と、地名が(白)で重なります。残雪の白、ダムの白、女の白い手と想像を巡らせて「白の残像」としました。

Q:テーマはいつも決めてから撮影されるのですか?

例えばどこか一つの場所に、テーマを決めて通い詰めて撮るというスタイルもあると思うのですが、田舎の自然の中で撮っているとそういうわけにも行きません。ただ、テーマを考えずに撮っていても実は自分の中にそれはすでにあり、自然と引き出され、突き詰めていくことになります。様々な絵や彫刻を観たり、読んだ本から蓄積されたものから生まれる大いなるものへの畏怖の念、思い、そんなものが作品に投影されているのだと思います。

私が改めて言うようなことではないですが、写真以外の芸術に触れるのは大事なことだと思っています。そこから得たものの方が、表現を豊かにしてくれるのではないでしょうか。また、夫婦でやっているのもプラスになっています。お互いに批評したり、意見を言い合うこともできますし。同じところにいて、同じものを見て、撮って。通じるものは自然と出てきますし、また、もちろん独自のものも芽生えます。そんな中で、ふたりともそれぞれの作品で同じ酒田市土門拳文化賞奨励賞をいただいたことは、ふたりの活動が認められたようで嬉しく思います。

Q:ご夫婦でされてる大変さは逆にないのでしょうか

大変さ、というのは全然ありません。暗室で焼くのも主人ですし、もちろんアシスタントはしましたけれど。今も印刷作業は主人がします。わたしは好きなものを撮って、こんな風に印刷して、と横で言う感じです(笑)。
(スタッフ注:喜博さまは暗室作業・印刷ともにお好きとのこと。おふたり仲良しでただただ羨ましいことです。。。!)

松本洋紙店スタッフより

お話を伺った日は皆既月食の日でした。ご自宅ではなく、喜博さまのご実家で現在はおふたりで行き来されている郡上市白鳥町にいらっしゃったのですが。リフォームの際に作った天窓が偶然、お月さまの軌道にちょうどあって、満月の際は枕元に月光がさすのですって!自然を愛し、その奥にあるものを追求していると、こんな風に自然からも愛されてしまうに違いないと思いました。

最初に作品を拝見したとき、グラフィカルで大胆な構図と、光と風の肌触り、緑の匂い、水の音、静けさの音、そんなものが一気に感じられてなんか爽快と痛快の間な感じがして思わず声をあげてしまいました。同時に日常からするりと違う次元に運ばれちゃうんです。自然に囲まれ、ご自身の内側のものを突き詰めてらっしゃることに加え、「構図がどうのとかは度外視して自由に撮ってますね」とあくまで品よくおっしゃったお言葉に、きっと鍵があるって思いました。

ちなみに和田さまご愛用の写真用紙、よろしければこちらからご覧ください。
フォトコンテストに使える写真用紙のページはこちら