紙のブログ

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ご愛用様さま

ご愛用者さまに聞きました: アマチュア写真家 有田勉さま

有田勉さま 作品1

こんにちは、松本洋紙店スタッフです。
多業種にわたる松本洋紙店ご愛用者さまから、今回は
アマチュア写真家 有田勉さまにご協力をいただきお話をお聞きしました。
当店の写真用紙もお使いいただいています。

ニッコールクラブ岩手支部長を務めてらっしゃって、和気あいあいと活動してらっしゃるそうです。

貴重な作品を4点、掲載させていただきました。
ぜひご一読くださいませ。

Q:プロフィールをお教えください

1941年 岩手県生まれ
1956年 中学3年生のときにカメラを手に入れ、写真を始める

1980年 日本カメラ 年度賞1位
1981年 カメラ毎日 月例年度賞
2006年 第54回ニッコールフォトコンテスト 第2部 大賞
2007年 第55回ニッコールフォトコンテスト 第3部 推薦
2008年 第48回富士フィルムフォトコンテスト 自由写真部門 金賞
2009年 第49回富士フィルムフォトコンテスト ネイチャーフォト部門 金賞
2016年 第38回よみうり写真大賞 ニュース&ドキュメンタリー部門 大賞
2016年 第64回ニッコールフォトコンテスト 第2部 大賞・長岡賞
2017年 写真集「軌跡」
2019年 第43回新・日本の農村写真コンテスト 最優秀賞

同級生のお兄さんがカメラを持っていて、現像して焼き付けるところを見せてもらい、白いところにじわじわと写真が浮かび上がるのに驚いたのがきっかけで写真に興味を持ちました。中学3年生の時、修学旅行のためにカメラがほしいと頼んで買ってもらったのがスタートです。今から考えるとおもちゃのようなものでした。あとになって日本カメラ博物館で同じものを見つけて名前を見たら、「スタート35」というカメラでした。

わたしが生まれたのが1941年12月1日で、数日後には太平洋戦争開戦。親父は出征して戦死、おふくろ一人に育てられた家庭で、当時カメラを買うのは大変だったのではないかと思います。同級生の家族はカメラを手に入れる前に引っ越してしまったので教えてくれる人もなく、独学でやっていました。それから断続的とはいえ今までずっと写真に夢中、全く飽きることなく続けています。

Q:被写体はどんなものを好まれますか?

近くの津軽石川に来る鳶が撮りたくて、スタート35のあと一眼レフを手に入れました。そこから今でも鳶はずっと撮り続けています。自然の生き物としては、遡上してくる鮭やそれを狙う鳥たち、また、白鳥なども撮っています。特に、自作で箱を作り、水面を真ん中にして上と下を同時に撮るような写真を工夫して撮影していますが、その作品作りは今後も続けていきたいと思っています。

また、もう一つこだわっているのは人の表情です。構えていない自然の表情、その人の内面が浮かび上がるような、そんな表情を作品に残したいと願っています。そのためには信頼があってこそ。被写体の方との信頼を大切にすることから始まると思っています。

Q:今回の作品について一言ずつお聞かせください

スタート


先程触れた自作の撮影ボックスにて、白鳥の水面の上と下を撮影しました。カメラの前に一列に並んでくれました

楽しいスキップ


このご家族とはすっかり仲良くなり、他の作品でもとても良い表情を見せてくれています

逃げる


とても良い波が来て、逃げる子どもたちがかわいくて撮影しました

二十歳春


成人式の時、楽しげに話している女性たちに声をかけて撮影させてもらいました

Q:カメラやプリンタ等こだわりはありますか?

カメラは、キヤノンを最初の頃使ったこともありますがその後コンテストに応募してニコンのカメラをいただいてからずっとニコンです。D5から始まり、D850、D500と使って現在はZ7を使っています。デジタルカメラを使い始めたのは2003年とちょっと遅いです。パソコンを使いこなすのには苦労しましたが、やはりデジタルは使いやすいです。

プリンターはエプソンのSC-PX5V2を使っています。染料インクのものも使ったことがあるのですがどうも合わなくて、顔料はすぐに色が合わせられるので良いな、と使い始めました。

盛岡に出るのも車で1時間半ほどかかるところに住んでいるのでなかなか情報もなく、コンテストの表彰式の際にいろいろと教えていただいたりしています。なので、コンテストに応募するのは表彰式も含めて楽しみなのです。特に、青木さんにはいろいろなことを惜しみなく教えていただいていて、例えばカラーモンキーフォトの使い方は電話で2時間ほどかけて教えてもらって使えるようになりました。

Q:東日本大震災の際はネガが全部ダメになったとか

暗室が1階にあったため、床上1m50cmまで来た波でずっと撮りためていたネガは全部流され、だめになってしまいました。ただ、パソコンは2階においてあったのでデータは無事でした。その時無事だったものを含めて、2003年から2016年に撮ったものをまとめた写真集を作っています。

翌日から変わり果てた街の様子を掃除をしながら写して回りました。親兄弟を亡くした方々も多くありましたが、将来のためになるからしっかり撮っておいて、と言われたのが心に残っています。正直、たまらない想いでいっぱいになることも多くありましたが、撮り続けました。その中の1枚をニコンフォトコンテストに応募し、それを見たNHKの方から取材を受けたこともあります。撮った写真はできるだけ、被写体になってくださった方に差し上げるようにしていました。

その当時は、全国の皆さまより多大なご支援と励ましをいただき本当にありがとうございました。

あれから10年、宮古の海岸には10mの堤防ができて風景は全く変わっています。街は変わっても、撮影するときの気持ちは変わらず、もっともっと人の心に残る作品を作りたいという一心で取り続けています。

Q:今後の作品づくりについてお聞かせください

今はなかなかコンテスト等の式典や集まりもないですが、やっぱり人の作品を見せてもらうとすごいな、自分はまだまだだな、と思います。それが良いモチベーションになります。まだまだうまくなりたい、もっと良い作品を作りたい、それがいつまでも若い気持ちを保つ秘訣かもしれません。

あとは、一度今までの作品をまとめて展覧会もしてみたいな、という願いはあります。全く未定ではありますが。。。

松本洋紙店スタッフより

毎回、役得と申しますか、一番最初に作品をメールで送っていただくのがとっても楽しみなのです。今回の有田さまの作品も楽しみにしておりました。メールを開いた瞬間、笑顔!こちらも満面の笑顔!すごく明るい気持ちになりました。

今までの写真家の皆さま全員そうですが、有田さまも全く偉ぶってらっしゃらなくて、驚くほど謙虚でいらっしゃるのです。それはきっと、まだ高みを目指してらっしゃるからこそなのだと思いました。東日本大震災のときのお話や、開戦のときにお生まれになってきっと苦労されたお母様のことなど、そういう歴史の積み重ねもあっての作品なんだろうなと感じています。今までとこれから、まとめての作品展開催を心待ちにしています。

ちなみに有田さまご愛用の写真用紙、よろしければこちらからご覧ください。
フォトコンテストに使える写真用紙のページはこちら