iF DESIGN AWARDとは、ドイツのiFインターナショナル・フォーラム・デザインが主催するデザイン賞です。世界でもっとも権威のある賞の一つとして認められています。2025年度は、66の国・地域から約11,000件のエントリーがありました。
エプソンの製品は、このiF DESIGN AWARDに、ホームプロジェクターやポータブルテーブルなど、いくつかの製品が受賞しています。この記事では、そのなかからプリンターについて紹介します。
iF DESIGN AWARD 2025を受賞したエプソンのプリンターは?
受賞した機種は、WorkForce Enterprise AM-C550/400、SureColor SC-F9500,9500H series/SC-S9100 series、SureColor SC-P20500 シリーズの3機種です。
海外で販売されているものとは型番が異なる製品があったり、シリーズでの受賞であったりするので、この記事では、国内で販売されているLM-C400、SC-F9550/9550H、SC-S9150、SC-P20550Lをピックアップしました。
環境に優しく効率的な印刷ができるLM-C400

LM-C400は、エプソンのスマートチャージの対象となる機種です。エプソンのスマートチャージのオール・イン・ワンプランで契約した場合、月額2万1120円(税込)で、モノクロ1650枚、カラー750枚まで追加料金が発生しません。インクやメンテナンスボックスの費用、保守サービスも月額料金に含まれます。
本体を購入して、使った枚数分だけ料金を支払うカウンター・チャージプランもあります。この場合も、インクやメンテナンスボックスの費用、保守サービスはカウンター・チャージに含まれます。
LM-C400の特徴
●高い環境性能
LM-C400は、印字プロセスに熱を使わないインクジェットプリンターです。消費電力が小さく、最大でも160Wの低消費電力設計です。消費電力をパネルに表示して、節電・環境活動への取り組みに役立てる機能も備えています。
●設置場所を選ばないコンパクトなサイズ
LM-C400は、用紙幅と同じ長さのプリントヘッドを搭載することで、高速印刷を可能にしたラインヘッドプリンターです。カラー・モノクロとも毎分40ページの高速印刷が可能です。
そして、プリントヘッドを斜めに配置することで小型化を実現していて、設置サイズは横幅465mm、奥行517mm、カウンターやバックヤードにも省スペースで設置できます。
●見やすく使いやすい大型のタッチパネル
10.1型の大きなタッチパネルが搭載され、快適に操作できます。アイコンには色が付けられていて識別しやすく、レイアウトは好みに合わせて3パターンから選べます。
LM-C400のスペック表
製品名 | LM-C400 |
発売年 | 2024年 |
標準価格(税込 カウンターチャージプラン契約時の本体価格) | 85万2500円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さmm) | 465×517×570 |
カラー印刷速度(A4文書 毎分) | 40枚 |
モノクロ印刷速度(A4文書 毎分) | 40枚 |
印刷解像度 | 600×1200dpi |
Wi-Fi | 〇 |
自動両面印刷 | 〇 |
最大用紙サイズ | A4 |
最大給紙枚数 | 650枚 |
快適で安全な印刷現場を実現するSC-F9550/9550H

SC-F9550/9550Hは、産業用の昇華転写プリンターです。
昇華転写プリントとは、専用のインクを転写紙に印刷し、プリントした転写紙を印刷対象となる生地に重ねて熱と圧力を加えて、生地を染色する印刷方法のことです。Tシャツやタオルなどのアパレルやタペストリー、ノベルティグッズの作成などに用いられます。
SC-F9550/9550Hは、快適で安全な「ウェルネスワーク」の実現を目指したプリンターとして評価されました。
SC-F9550/9550Hの特徴
●職場環境に配慮した新デザイン
SC-F9550/9550Hは、従来機よりも高さが約30cm抑えられ、圧迫感が少なくなっています。また、天面がフラットで作業スペースとして活用でき、重いメディアを楽にセットできるメディアリフターも搭載していています。
働く人や職場環境に配慮したウェルネスワーク(快適で安全な印刷現場)を実現するデザインとなっています。
●高速プリントを可能にした大型プリントヘッド
SC-F9550/9550Hには、大型の1.33インチのプリントヘッドが搭載され、従来機SC-F9450と比較して約1.3倍のスピードで印刷ができます。
さらに、大型のヒーターを搭載したことで乾燥スピードも速くなり、短納期の業務にも対応できるようになりました。
●高画質6色インクを搭載したSC-F9550H
SC-F9550とSC-F9550Hは、ほぼ同等の性能の製品ですが、SC-F9550がブラック、シアン、マゼンタ、イエローの基本4色対して、SC-F9550Hはニーズに合わせて選べる6色機です。
選べる色は、基本4色にプラスして、ライトシアン/ライトマゼンタ、もしくは蛍光イエロー/蛍光ピンク、オレンジ/バイオレットの3つの組み合わせのいずれかとなります。
SC-F9550/9550Hのスペック表
製品名 | SC-F9550 | SC-F9550H |
発売年 | 2024年 | 2024年 |
標準価格 | オーブン価格 | オーブン価格 |
本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 2620×929×1020mm | 2620×929×1020mm |
ノズル配列 | 400ノズル×4列×4色 | 400ノズル×4列×6色 |
用紙幅 | 300~1625.6mm(64インチ) | 300~1625.6mm(64インチ) |
用紙厚 | 0.04mm~1mm以下 | 0.04mm~1mm以下 |
印字幅 | 最大1619.6mm | 最大1619.6mm |
最大ロール外径 | 250mm | 250mm |
プリント速度(標準) | 39.6㎡/h(600×600dpi 4.4pass) | 39.6㎡/h(600×600dpi 4.4pass) |
人と環境に優しいエコソルベントインク搭載プリンターSC-S9150

SC-S9150は、iF DESIGN AWARD 2025では、先ほど紹介したSC-F9550/9550Hと一緒に受賞していますが、タイプが異なるプリンターなので、この記事では分けて紹介します。
SC-S9150は、塩ビのフィルムなどに溶剤インクを使って印刷して、屋外広告や電飾サインなどを作成することができるエコソルベントインク搭載プリンターです。
なお、従来機よりも約30cm高さを抑えた設計であったり、天面がフラットであったり、メディアリフターを搭載していたりする点は、SC-F9550/9550Hと共通です。
SC-S9150の特徴
●高画質を実現する11色の搭載
SC-S9150は、従来のオレンジやレッドのインクに加えて、グリーンのインクが追加されました。色域が最大で19%拡大したうえで、さらに画質が向上しています。
11色をフルに搭載した11色モードと、ホワイトの代わりにクリーニング液を搭載した10色モードの切り替えが可能です。
●生産性を向上させた従来機1.3倍のヘッドサイズ
SC-S9150のプリントヘッドは、従来機よりもヘッドサイズが約1.3倍になり、ノズルの総数も約1.3倍になっています。これにより、生産性が最大11%向上します。
また、プリントヘッドのドット抜けを自動で検知する機能が搭載され、安定して高画質でプリントでき、プリントミスも防ぎます。
●対候性に優れたインクを採用
本機に採用されているUltraChrome G3インクは、高い耐候性を誇ります。ラミネートなしでも最大3年の屋外対候性を実現しています。
インクは、インクパックを引き出し式のインクサーバーに補充する方式で扱いやすく、インク容量は800mlと1500mlから選べます。
SC-S9150のスペック表
製品名 | SC-S9150 |
発売年 | 2025年 |
標準価格(税込) | 327万800円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 2620×925×1021mm |
印刷解像度 | 1200dpi×1200dpi |
用紙幅 | 300~1626mm(64インチ) |
用紙厚 | 最大1mm |
印字幅 | 最大1616mm |
ロール外径 | 最大250mm |
印刷スピード(塩ビ) | 14.0㎡/h(10pass 1200×600dpi) |
画質と生産性の向上を両立したSC-P20550L

SC-P20550Lは、水性顔料インクを使用する大判プリンターです。フォト・ファイアーと市場向けのプリンターで、高画質と生産性の向上を両立させた製品です。
画質と生産性以外にも、作業のしやすさや環境性能にも配慮された製品となっています。
SC-P20550Lの特徴
●ファインアート、高画質ポスターなどに適した高画質
SC-P20550Lは、12色のインクを搭載したプリンターです。従来機よりも色域が劇的に拡大し、階調性・低粒状性にも優れています。
ライトグレーインクがインクの段差を少なくし、表面の光沢を最適化する機能も搭載しています。これにより、反射光によって色味が付いて見えるブロンズ現象を抑制します。
●高生産性と安定稼働を実現
SC-P20550Lには、総ノズル数9600の2.64インチプリントヘッドが搭載されています。B0一枚を約4.8分で印刷でき、生産性の向上につながっています。
ノズル抜けを自己診断するシステムや、紙送りの左右差を補正する機能も搭載され、稼働の安定性を高めています。
●大容量1.6Lのインクパックを搭載
本機のインクパックには、各色1.6Lの大容量パックが採用されています。インクの交換回数を減らし、作業性を向上させています。また、インクカートリッジを紙パックにしたことで、使用済みカートリッジの保管スペースが約90%削減されています。
SC-P20550Lのスペック表
製品名 | SC-P20550L |
発売年 | 2024年 |
標準価格(税込) | 188万8700円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 2740×760×1145mm |
印刷解像度 | 2400dpi×1200dpi |
Wi-Fi | × |
用紙サイズ(単票紙/ボード紙) | A4縦~B0プラス |
用紙幅(ロール紙) | 254~1626mm |
用紙厚(ロール紙) | 0.08~0.5mm |
印刷可能最大長 | 91m |
ロール外径 | 170mm以内 |
印刷スピード(B0 きれい) | 約4.8分 |
ランニングコスト(B0 きれい) | 約391円 |
iF DESIGN AWARD 2025を受賞したエプソンのプリンターを紹介しました。iF DESIGN AWARDは、機能性や環境性能なども総合的に評価して選出される賞です。
受賞した製品は、さまざまな面でプリンターとして優れた性能を持っていると評価されたものです。プリンターの購入を検討する際に、候補の一つとして考えてみてください。
なお、松本洋紙店では、この記事でご紹介したプリンターにも使用できるインクジェット用紙や、ロール紙、溶剤用ロールなどを各種取りそろえて販売しております。
プリンターに使用する用紙をお求めの際には、ぜひ松本洋紙店にご用命ください。