紙のブログ

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ご愛用様さま

ご愛用者さまに聞きました: 写真家 山中健次さま

こんにちは、松本洋紙店スタッフです。
多業種にわたる松本洋紙店ご愛用者さまから、今回は
写真家 山中健次さまにご協力をいただきお話をお聞きしました。
長く写真用紙をご愛用くださってます。

プロ写真家としてご活躍、また現在は全日本写真連盟関西本部委員長でもいらっしゃいます。また、コンテストの受賞も多数、以下に少し抜粋させていただきました。
・エプソンフォトグランプリ グランプリ受賞
・毎日写真コンテスト 内閣総理大臣賞受賞
・写真雑誌フォトコン カラーの部 年度賞1位
・写真雑誌日本カメラ カラープリントの部及びモノクロプリントの部でそれぞれ
年度賞1位
その他にも、ニッコールフォトコンテスト、キャノンフォトコンテスト、富士フィルムフォトコンテストなどで多数入賞、入選してらっしゃいます。

貴重なお写真を4点、掲載させていただいています。
ぜひご一読くださいませ。

Q:プロフィールをお教えください

1952年、大阪市出身。現在は和歌山県かつらぎ町在住。
中学生のとき友達に蒸気機関車の撮影に誘われ、父のカメラを貸してもらい撮影したのが
写真との関わりの始まりで、地方公務員だったのですが定年を待たずに写真家に転身しました。

その後、プロ写真家として公益社団法人日本写真家協会の会員になり、また現在は全日
本写真連盟関西本部委員長として、写真愛好家の指導やコンテストの審査等に携わっています。

Q:作品にはどんな思いを込めてらっしゃるのでしょう

人物や、社会性のある被写体が好きです。自分が感動したもの、面白いと思った人、それが最初になくてはならないと思っています。また、沖縄に魅せられてもいます。戦跡や戦争の遺品だったり、また人々の素朴さ、人懐っこさなどが好きになり何回も訪れては撮影しています。季節によって景色が変わるのも楽しみです。

写真教室でも必ず、「自分が感動しないと人には伝わらないよ」という話をします。絵になると思って撮っても上手な写真にしかならない。やはり自分が心を動かされたものでないと、人の心も動かせません。

初心者の方にはやはり写真が好きになってほしい。一生続けてほしい。そう思っているので最近はプログラムオートという、撮りたいと思ったときに最も失敗の少ない機能を使うこともおすすめしています。最初から難しすぎると嫌になってしまうのを避けたいのです。また、何かを感じたり感動したら撮影する、これもシンプルながら大切です。何か撮らなくちゃ、ではないのです。

Q:今回の作品について一言ずつお聞かせください

串柿の里


正月の鏡餅の上にのせる串柿は和歌山県かつらぎ町の農家で多く作られ、家の庭などで乾燥させます。縁起物と言うことで「外でにこにこ仲むつまじく」、一櫛に10個です。この地域の風物詩です。

月見祭


大阪府堺市の各地区から工夫を凝らし芸術性の高い布団太鼓が十五夜に因んで町内を巡行し、その後、百舌鳥八幡神社境内で勢いよく練り歩きます。迫力があり、見る価値があります。

旧正月


今も沖縄県の一部地域では旧正月の行事が行われています。漁港に停泊している船に大漁旗や国旗などを多数掲げ、新年を集落の皆で祝います。

慰霊


沖縄県糸満市の「ひめゆりの塔」の壕の前には、太平洋戦争で亡くなった女子学徒隊の
皆さんを慰霊するために、訪れた人々が花などを供えています。平和の大切さが伝わってきます。

Q:カメラやプリンタ等こだわりはありますか?

カメラについて
地方公務員だった頃、広報部門におりました。撮影で失敗は許されませんので、どんな悪条件でも使える堅牢なカメラが欲しくて自費でニコンF3を購入し、仕事と趣味に使っていました。大事なイベントを撮影する際などは、雨が降ろうと関係ないですし、また一瞬のチャンスを逃すわけにいかないからです。仕事を離れての撮影時も基本は街中でのスナップ派なため、どんな状況下でも信頼がおけるカメラはやはり頼りになります。もちろん、カメラを使いこなし手足のように動かせるようになるまで慣れることも大事だと思います。その後は、時代に合わせてニコン製カメラを買い換えて行き、現在は、ニコンD800とニコンミラーレスZ6を使用しています。

プリンタについて
作品を生み出すにはカメラなどの機材も重要ですが、最終工程で応募作品や展示作品に仕上げるためのプリンタと用紙は特に重要だと考えています。プリンタはエプソンの5VⅡと
エプソンフォトグランプリコンテストで特別賞を受賞した賞品としていただいた3Vの2台を使用しています。この2つは、ほぼ思い通りの色やコントラストなどを再現してくれるので安心感があります。

紙について
超光沢紙、マット紙なども使用しますが、絹目調が使いやすいと思っています。その理由は、どのような内容の作品にでも、ほぼマッチすると言うことです。また、最近のコンテストではサイズの上限がB4までと言うのが多くなったため、当然私もB4でプリントすることが多くなったのですが、B4絹目調は松本洋紙店さんにしかないので重宝しています。立場上、西日本の各地で写真講座をし、カメラの扱い方や撮り方などのお話をすることが多いのですが、最近では写真用紙の重要性などについても話をすることが多くなりました。自分の意志を紙に伝える、このことは最も大切だと思います。

絹目調の用紙は初心者の方にもおすすめしています。理由は、語弊があるかもしれませんが「失敗感が少ない」からです。光沢紙だとピカピカひかりすぎてしまったり、マットだと沈みすぎたり黒の質感がうまく出なかったりするのですが、絹目だと安全です。迷うなら絹目を選ぶことをおすすめします。

Q:印刷のこだわりはありますか

私の場合、写真コンテストに応募する作品づくりのためにプリントすることもありますが、指導している写真クラブの例会などで作例として会員の皆さんに見せるためのプリントも毎月用意しなければなりません。そのため、内容に合った色調やコントラストが再現できていなければ勉強になりませんので、特にプリントの調子などには拘っています。

当然のことながら完全にイメージ通りに撮れるとは限りません。ですから、いわゆるレタッチ(画像処理)も大事です。といっても女性が紅を差す程度、ですが。

ウェブ作品もだんだん増えて来てはいますが、やはりプリントするところまでが作品だと思っています。「ウェブで見られるのは映像であり、写真ではない」とおっしゃる方もあるようです。例えばフェイスブック等で情報交換として楽しむことは私もしますけれど、やはりプリントしたものを実際に目の前にして意見交換できることも大きな楽しみだと思います。オンラインはオンラインの良さ、アナログにはアナログの良さがあります。

Q:今後の作品づくりについてお聞かせください

人物スナップが多く、また社会性のある被写体が好きなので、これらを撮り続けて、見る
人の心を動かしたり問題提起するような写真を発表していきたいと思っています。特に、
人物は社会の今を映し出していますので、記録として、また記憶として残る写真を撮り続
けて行きたいと思っています。併せて、地元の風物や産業なども大事だと思いますので、
これらも撮影していきたいと思っています。

松本洋紙店スタッフより

このブログにもご登場いただきました中澤さま青木さまとも旧知の中でいらっしゃって、当店の用紙は青木さまからの情報でお知りになったそうです。ありがたいことです。

山中さまのお写真にはたくさんの人が登場します。みなさんとっても生き生きとした表情をしてらして驚きます。どうやってそんな表情を引き出せるのだろう、と思って伺いましたら、やはり被写体の方に興味を持ち、ちゃんとコミュニケーションをとってらっしゃるとのこと。また、撮らせてほしいと頼んで断られることはあまりないそうです。日本人は基本的にハレの場で写真を撮る習慣があるので、撮らせてほしいと頼むと自分が魅力的だから撮らせてほしいのだろうという意識が働くのだろう、とおっしゃってましたが。スタッフは個人的に
山中さまがきっと紳士で警戒心を持たせないお人柄だからこそなんだろうなって思っています。

感動したことを撮影する、とおっしゃいましたけれど、写真を趣味にすると、日々の生活の中で美しいもの、心が動くもの、感動するものがたくさん見えてくるのじゃないかとも思いました。普通に生きていると見過ごすものが見えてくる、それって羨ましいです。生きることが断然豊かで彩りを持つと思うのです。

ちなみに山中さまご愛用の写真用紙、よろしければこちらからご覧ください。
フォトコンテストに使える写真用紙のページはこちら