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印刷ネタ

写真プリントの疑問〜銀塩方式とインクジェット印刷の違いは何ですか?

紙好きの方には、カメラ好きの方も多いというウワサを聞きました。
そんなみなさん愛用のカメラは、アナログ(フィルム)でしょうか?デジタルでしょうか?
先日、こんなニュースにびっくりさせられました。

Canonの告知ページ フィルム一眼レフカメラ「EOS-1v」販売終了

フィルムカメラの需要が減ったため、キヤノンは、同社のフィルム一眼レフカメラとしては唯一の現行機種である「EOS-1v」の販売終了を告知したというのです。
なんだかちょっとさみしいニュースですね。

写真プリントは、何派ですか?

写真プリントには、いくつか方法があるのですが、その違いについてきちんと理解しているという方は、ずばりほんもののカメラ好きにちがいありません!
プリントの方式には、実はいろいろあります。

  • 銀塩プリント
  • デジタル銀塩プリント(レーザーorLED)
  • インクジェットプリント
  • レーザープリント

一般的なイメージだと、プリントの方式は、アナログ派かデジタル派に分けることができます。
・アナログ派
フィルムカメラで撮影。
暗室もしくは写真屋さんで印画紙に銀塩プリント。
・デジタル派
デジタルカメラで撮影。
自宅やオフィスなどでインクジェットプリンターを使用して写真用紙に印刷。
インクジェットプリンターの普及、手軽に手に入るインクジェット用紙のおかげで、印刷が身近になっているため、「デジタル派=インクジェットプリント」のイメージが大きいですが、実際には、写真屋さんもしくはネットプリントにプリントを依頼すると、銀塩方式でプリントしているところが多いようです。(ただし、一部の店舗では業務用インクジェットプリンタを使用。)
あえて写真のプリント方式を大きく分けるのであれば、「銀塩プリント」と「プリンター(印刷)」に二分することができます。
プリンターにもいくつか種類はありますが、カラー印刷が苦手なレーザープリンターは写真印刷にはあまり向いていないことから、今回は、インクジェットプリンターを中心に、「銀塩プリント」と「プリンター(印刷)」の違いについて取り上げたいと思います。

「銀塩プリント」と「インクジェットプリンター」の違い

仕組み

まずは、それぞれのプリントのおおまかな仕組みをあげてみたいと思います。
・銀塩プリント

  1. フィルムカメラで撮影されたネガフィルムを機械もしくは人力(暗室)で現像する。
  2. フィルムの画像を引き伸ばし、印画紙(ペーパー)の上に照射する(焼き付ける)。
  3. 印画紙には、光が当たると発色する薬品(銀塩感光材料、乳剤)が塗られているので、印画紙内部で発色する。

・インクジェットプリンター

  1. デジタルカメラなどで撮影された画像データをプリンターに出力する。
  2. 紙の表面にインクをジェット噴射してのせる。
  3. 吹き付けるインクの密度を調整して色を再現する。

違いは一目瞭然!画像の処理方法はもちろん、色の再現方法も全く異なることがわかります。
ただし、フィルムを画像データに処理したり、画像データをフィルムにしたり、画像データをレーザーまたはLED照射などで印画紙に露光する「デジタル銀塩プリント」があったりするため、上記は一般的な流れを記載しています。
参照:「ピクトリコプロ・デジタルネガフィルムTPS100」による銀塩モノクロプリント>「銀塩とデジタルの融合」
http://www.pictorico.jp/person/digital_negafilm.html
「ピクトリコ」
https://www.moriichi-net.co.jp/c/cat179

どちらの方式も、紙の存在がかなり重要な部分を占めているので、仕組みの次に用紙の違いもあげてみたいと思います。
それぞれ専用の紙を使用します。
・銀塩プリント
銀塩印画紙
紙の表面には、光が当たると発色する薬品(銀塩感光材料、乳剤)が塗られています。
乳剤に含まれているハロゲン化銀が光に化学反応し、反応した部分を現像することで画像が形成されます。
モノクロとカラーそれぞれに専用の印画紙があります。
現像液につけて現像するため、一般的な紙に比べると水に強いようです。
・インクジェットプリンター
印画紙
紙の上に感光材料(乳剤)を塗布したもので、バライタベースとRCベースがあります。RC(Rasin Coating:レジンコート)ベースのものは、不必要に薬品を吸収するバライタ紙の欠点を解消するために、バライタ紙の両面に樹脂層をつくったものです。
(ちなみに、松本洋紙店の印画紙は全てレジンコートベースになっています。裏面は無地になっていますが、印刷は出来ません。)
デジカメ写真印刷に一般的に使用される「フォト光沢紙」に比べて、仕上がりが銀塩写真の印画紙に近いため、プロ仕様に向いています。
乾燥性(染料インク)、耐水性(プリンタ機種、使用インクにより程度が左右します)に優れており、フォト光沢紙より画質がさらに鮮明です。
絹目調
印画紙(RC)ベースの高級印画紙タイプの写真用紙で、プリント面が微粒面質のさらさらした質感の半光沢紙のものです。
普通の印画紙に比べて、落ち着きのある上品なしっとりとした雰囲気があります。
フォト光沢紙
普通紙にキャストコーティングされたもの。高級ある仕上がりに。
マット紙
普通紙にツヤ消しのコーティングを施したもの。落ち着いた仕上がりに。

「銀塩プリント」と「インクジェットプリンター」の比較

違いが渡ったので、次は仕上がりの比較をしてみたいと思います。

画質と色

どちらのプリント方式でも、解像度は300dpi(ドットパーインチ=1インチ(25.4mm)あたりのドット(点)の数)以上と言われています。
人間の目は、基本的に300~400dpi以上の解像度を区別できないそうなので、どちらも十分な数値ということになります。
銀塩プリントの場合は印画紙に、インクジェットプリントの場合はプリンターの性能に関わる部分なので、一般的な比較は、色の出方や見え方によるところが大きいかもしれません。
・銀塩プリント
銀塩印画紙は、CMY(シアン・マゼンタ・イエロー)の3色構造で、それぞれの層が組み合わさることで、あらゆる色に発色。
色の再現性が高く、色馴染みもよい。印画紙内部で発色するため、印刷に比べて保存性は抜群、色の再現性が高いのが特長です。
得意な色は、淡色で、滑らかさや柔らかさの表現に向いています。
・インクジェット
6色や8色のインクトナーが搭載されたプリンターを使用することで、多色の組み合わせが可能。
噴射するインク量やインクの密度を調整することで疑似的に全色を表現しています。
吹き付けられたインクは、紙の表面から内部に染み込み乾燥して安定。
内部から発色する銀塩印画紙に比べて外側(空気に触れる)にインク面があるため、保存性はやや劣るようです。
得意な色は、鮮やかな色(赤など)で、コントラストのある被写体にも向いています。

コスト

大量印刷の場合、ネットプリントや写真屋さんでの銀塩プリントが一番コスパがよいようです。
ただし、少量印刷の場合、インクジェットプリンターでの印刷のよさ(手軽、自宅でも可能)や、暗室での現像と言う楽しみなどを加味するならば、
金額では比較ができないというのが正直な見解です。
銀塩印画紙は、フィルムカメラの需要が減っているため、国産の印画紙の入手はこれからますます困難になることが予想されます。
印刷用紙に比べ選択肢は少なく、価格も割高です。
その点、インクジェットプリンター用の印画紙やフォト光沢紙は、種類も豊富で、サイズもいろいろ。手頃な値段なので、自宅やオフィスで少量印刷するのであれば、コストもそれほど気になるものではありません。
写真屋さんレベルのインクジェットプリンター用の写真用紙をお探しであれば、多少コストがかかっても、断然印画紙がおすすめであることは間違いありません。

特長まとめ

・銀塩プリント
色の再現性が高く、耐久性も高い。
モノクロや淡色の表現を得意とする。
写真を現像するプロセスを含めてすべてを表現したい方にオススメです。
・インクジェットプリンター
印刷用紙の種類が豊富で自宅やオフィスで手軽に写真をプリントできる。
鮮やかな色の表現が得意なので、カタログやポスターなどにも向いています。
両面印刷できる印画紙もあり、用途の幅が広がります。

どっちも違ってどっちもいい!

写真屋さんでプリントされる写真は、現在でも「銀塩プリント」がほとんどです。
銀塩プリントのよさは、その色の再現性と耐水性にあり、デジタルのよさは、その手軽さにあります。
ただし、仕上がりや表現力は、好みによるため、一概にどっちがよいとは言い切れない奥の深さがありました。
いいとこどりできたら!と思われた方!
そんな方には、銀塩写真のよさも味わえるインクジェットプリンター用の印画紙がオススメです!
おすすめ写真用紙
https://www.moriichi-net.co.jp/c/cat21
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写真用紙種類はたくさんあるけど違いは一体何か。あなたの疑問に答えます。

写真プリント、かなり奥が深かったです!
紙の世界は、まだまだわからないことだらけ!?書き手もかなり勉強になっています。
「紙のブログ」調べて納得シリーズ、次回もお楽しみに♪