なかなか耳慣れない「DTF」とは、いったいなにを指すのでしょうか?
DTFは「Direct to Film」の略で、専用のフィルムに印刷し、それをTシャツなどの生地に転写するプリント技術を指します。そのDTF専用プリンターが、こちらの記事で取り上げるエプソンのSC-G6050です。
DTFプリンターは、綿やナイロン、ポリエステルなど、さまざまな素材にプリントできることから、ウェアプリントやグッズ製作の現場で幅広く使われています。
このSC-G6050は、自動メンテナンス機能を搭載している点や用途に合わせたプリントモードが選択できる点が特徴となっています。DTFプリンターの導入・買い換えの際は、こちらの記事を参考にしてください。
DTFプリンターの仕組み
DTFプリンターは、まず専用のフィルムに印刷を行い、そこからTシャツなどの生地に転写する仕組みになっています。

印刷したフィルムは、それだけでは未完成です。印刷済みのフィルムにホットメルトパウダーを塗布して、熱を加えてパウダーを溶解して糊層を形成することで、転写フィルムとして完成します。
転写フィルムを作成するには、プリンターだけでなく、パウダーを塗布して熱処理するためのシェイカーが必要になります。そしてTシャツなどに転写する際には、熱転写するためのプレス機も必要です。
SC-G6050を導入するような事業所では、このシェイカーやプレス機も導入することになりますが、小規模で行う場合は、印刷したフィルムに手作業でパウダーを振り、DTFオーブンで加熱処理をして、生地への転写はアイロンで行うことでも代替できます。
このような複雑な工程を経て作成されるDTFプリントですが、以下のような優れた点が挙げられます。
●色ごとの製版が必要なくフルカラー印刷が手軽にできる
●下地に白を印刷することで濃い色の生地にも色鮮やかにプリントができる
●綿やナイロン、ポリエステルなど対応する素材が幅広い
使いやすさと安定稼働を両立したSC-G6050

SC-G6050は、自動メンテナンス機能が充実したDTFプリンターです。毎日のメンテナンスの手間が少なくなるとともに、商用利用にとって重要な安定稼働を実現します。用途に合わせたプリントモードの選択ができるのも特長です。
SC-G6050の特徴
●吸引キャップの自動クリーニング機能
吸引キャップとは、プリントヘッドのクリーニングを行う際に、インクを吸引してノズルの目詰まりを解消する部品です。SC-G6050には、吸引キャップの自動クリーニング機能が搭載されていて、日々のクリーニングが必要ありません。

ただし、この機能があるからといって、吸引キャップの清掃をまったくしなくていいわけではありません。吸引キャップの清掃時期になると、操作パネルにその旨が表示されます。そのほかに、印刷面にインク汚れが付くときなどは、吸引キャップを清掃する必要があります。
●プリントヘッドを清掃するワイパーユニット
プリントヘッドを清潔に保つワイパーも搭載されています。ワイパーユニットは布製で、ロール式の消耗品。交換時期が来たら交換するだけなので、ワイパーを清掃する手間がかかりません。
ワイパーユニットは、ヘッドクリーニングセットのパーツの一つです。「ヘッドクリーニングセットの交換時期です」の画面に表示が出たら、乾燥防止キャップ・フラッシング用吸収剤を含むヘッドクリーニングセットを一括して交換します。
●ホワイトインクの沈降を防ぐ循環システム
DTFプリンターに使用されるホワイトインクには、インクの成分が液の底に沈降しやすい特徴があり、これがインク詰まりの原因の1つになります。
SC-G6050には、インクを自動で循環させるシステムが搭載されていて、インクの沈降を防ぎます。安定した画質での連続稼働の実現に一役買っています。

なお、循環システムが搭載されていても、ホワイトインクの沈降しやすい性質自体は変わりません。取扱説明書では、24時間に一度、インクパックを振ってかくはんするよう指示されています。
カラーインクは3週間に1度、かくはんします。インクのかくはん時期についても、画面にメッセージが表示されます。
●機体の前面から操作が可能
SC-G6050は、全て本体の前面からの操作が可能なフロントアクセスを採用しています。本体の後方にスペースを空けておく必要がなく、空間を有効に使えます。

またメンテナンスカバーが大きく開く構造で、吸引キャップの清掃やヘッドクリーニングセットの交換などのメンテナンスが楽に行えます。
●用途に合わせたプリントモード
SC-G6050には、3つのカラーモードがあります。ホワイト/カラー2層モードは、まず下地にホワイトを印刷して、その上にカラーインクで印刷します。おもに色が付いた生地に転写する際に用います。
色が付いた生地に白でロゴなどを印刷する際はホワイト1層モード、白い生地に印刷する際にはカラー1層モードを使います。

印刷速度・印刷品質は、印刷品質を落として素早く印刷するLv.1から、印刷に時間がかかりますが高画質で印刷できるLv.7まで7段階で選べます。
●大容量インクパックとオートカッター
インクには、1.6Lと大容量のパウチ式インクパックが採用されています。インク交換の際は、引き出し式のトレイにインクパックをセットするだけのお手軽仕様です。
オートカッターも搭載しています。1ページ印刷するごとに自動的にカットする自動カットと、操作パネルでカット位置を指定してカットする手動カットを選択できます。
SC-G6050の仕様
●標準価格
250万8000円(税込み 2025/5/25現在)
●対応インクパック
ブラック SC32BK
シアン SC32C
マゼンタ SC32M
イエロー SC32Y
ホワイト SC32WW
※各2万6400円(標準価格 2025/5/25現在)
SC-G6050のスペック表
製品名 | SC-G6050 |
メーカー | エプソン |
発売年 | 2025年 |
標準価格(税込) | 250万8000円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さmm) | 1608×746×1128 |
最大解像度 | 1200×600dpi |
最大印字幅 | 894mm |
印刷速度(白/カラー2層モード 標準) | 5.6㎡/h |
ロール紙外径/質量 | 150mm以下/10kg以下 |
用紙厚 | 0.5mm以下 |
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エプソン初のDTFプリンター SC-G6050は、自動メンテナンス機能を備えた、安定的な稼働を期待できる製品です。オリジナルのTシャツやグッズ作成といった業務用の導入時に、ぜひ候補の一つとして検討してみてください。
この記事では、DTFプリンターというやや特殊なプリンターを紹介しましたが、松本洋紙店では、一般的なプリンターに使う用紙から、溶剤プリンターで使う溶剤用ロール、ラベル・シール紙まで、幅広く取り扱っています。
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